福井県を襲った記録的な大雨により、住宅だけでなく、県内の企業にも大きな被害が広がっています。
福井県内では、製造業47社、卸売・小売業19社、宿泊・飲食業10社など、計112社で浸水や設備の故障などの被害が報告されています。
中でも深刻な被害を受けたのが、街一帯が冠水した坂井市丸岡町です。
ケーキや焼き菓子を製造・販売する「西洋菓子倶楽部」では工場が浸水。
冷蔵・冷凍設備をはじめとする機械にも水が入り、製造できない状態となりました。
一方、永平寺町で豆腐料理を提供する「幸家」では、店舗そのものは浸水を免れたものの、駐車場付近ののり面が崩落。
安全確保のため営業休止を余儀なくされています。
水害は、水が引けば終わるわけではありません。
設備の故障、商品の廃棄、衛生管理、予約キャンセル、休業による売上減少など、企業にとっては水が引いた後から本格化する損失もあります。
福井県の大雨で企業に何が起きているのでしょうか。
当記事では、西洋菓子倶楽部と幸家の事例を中心に、大雨による企業被害や復旧への課題、中小企業向けの支援について詳しく見ていきます。
福井県の記録的大雨
2026年8月29日から福井県内で発生した大雨は、各地に大きな影響をもたらしました。
福井県は災害対策本部を設置し、被害状況の把握や対応を進めています。
企業への影響も深刻です。
報道によると、今回の大雨によって被害が確認された福井県内の企業は計112社。
業種別では、製造業47社、卸売・小売業19社、宿泊・飲食業10社などで、浸水や設備故障といった被害が報告されています。
特に水害の怖さは、工場や店舗そのものへの被害だけにとどまらないことです。
生産設備が水につかれば、外見上は問題がないように見えても正常に稼働するとは限りません。
食品を扱う事業者であれば、泥や汚水が流れ込んだ後の衛生管理も大きな問題になります。
さらに、製造や営業が止まれば、その期間の売上も失われます。
福井県は今回の大雨を受け、福井市、大野市、勝山市、あわら市、坂井市、永平寺町の6市町に災害救助法を適用しています。
企業にとっては、建物や設備の復旧だけでなく、事業そのものをいかに早く再開できるかが大きな課題になっています。

西洋菓子倶楽部の工場が浸水
福井県坂井市丸岡町にある「西洋菓子倶楽部」の工場も、今回の大雨によって深刻な浸水被害を受けました。
西洋菓子倶楽部は、ケーキや焼き菓子などを製造・販売する洋菓子店です。
8月30日の大雨で工場周辺は広範囲にわたって冠水し、工場内部も約30センチの高さまで浸水しました。
水が引いた翌31日の朝から従業員が総出で洗浄作業を開始。
9月1日にはボランティアなども加わり、約40人で工場内に残った泥や汚れを取り除く作業が行われました。
しかし、食品工場の復旧では、見える泥を取り除くだけでは十分ではありません。
特に懸念されているのが衛生面です。
浸水した場所では、目に見えない細菌などが残っている可能性があります。
食品を製造する以上、十分な洗浄や衛生状態の確認を行ったうえで、安全に製造できる環境を取り戻す必要があります。
さらに、ケーキ作りに不可欠な冷蔵・冷凍機能を備えた設備や製造機械も浸水しました。
工場の清掃が完了しても、これらの機械が正常に稼働するかどうかは別の問題です。
被害額についても、現時点では全容を把握できていません。
西洋菓子倶楽部の工場は、県内5店舗で販売する菓子の製造を担っており、その規模は1日あたり数百万円相当になるといいます。
工場の停止が長期化すれば、1店舗だけではなく、各店舗の商品供給にも影響が広がりかねません。
現在は被害を受けていない別の店舗へ製造場所を移しながら販売を続けていますが、長期間にわたって工場が停止すれば、全ての店舗を休業しなければならない可能性もあります。
同社は本社だけでも早期に稼働できる状態を目指し、再び雨が予想されるなか、急ピッチで復旧作業を進めています。

永平寺町「幸家」はのり面崩落で営業休止
大雨による企業被害は、建物への浸水だけではありません。
福井県永平寺町で豆腐料理を提供する「幸家」では、店舗への浸水は免れました。
しかし、駐車場付近ののり面が崩落。
利用客の安全を確保するため、営業休止を余儀なくされています。
営業再開については安全性を確認したうえで慎重に判断する方針で、記事執筆時点では見通しが立っていません。
休業に伴って大きな問題となっているのが、予約のキャンセルです。
すでに入っていた予約については、店側から利用客に断りの連絡を入れており、予約キャンセル分だけでも100万円近い損失になるとされています。
しかし、損失はそれだけではありません。
来店客のために仕込んでいた食材や、店頭に並べる予定だった商品なども無駄になる可能性があります。
予約キャンセル、食材費、商品の廃棄、営業できない期間の売上などを合わせれば、損失は数百万円単位に膨らむ可能性があります。
幸家のケースから分かるのは、「店舗が浸水していないから被害がない」とは限らないということです。
道路や駐車場、のり面など周辺環境に危険が生じれば、建物が無事でも営業できなくなることがあります。
水害による企業への影響を考える際には、直接的な浸水だけでなく、こうした間接的な休業被害にも目を向ける必要があります。

水が引いても企業被害が終わらない3つの理由
今回の福井県の大雨被害から見えてくるのは、「水が引くこと」と「事業を再開できること」は同じではないという現実です。
企業にとって、水害後には主に3つの問題が残ります。
1.機械や冷蔵・冷凍設備などの故障
製造業や食品関連企業では、機械や電気設備が浸水すると事業そのものが停止する可能性があります。
特に食品工場では、冷蔵庫や冷凍庫、製造機器などが不可欠です。
外側を洗浄できたとしても、内部の電気系統まで水が入り込んでいれば、修理や交換が必要になる可能性があります。
そのため、建物の水が引いた翌日にすぐ通常営業へ戻れるとは限りません。
2.商品・原材料の廃棄と衛生管理
食品を扱う企業にとって、浸水後の衛生管理は極めて重要です。
泥水が工場や店舗に入り込めば、商品や原材料が使用できなくなるだけでなく、製造スペースや機械などについても徹底した洗浄・確認が必要になります。
目に見える泥を取り除くだけではなく、食品を安全に提供できる環境を再構築することが求められます。
その間にも商品廃棄や製造停止による損失は積み上がっていきます。
3.休業・キャンセルによる売上の損失
水害による損失は「壊れたものの修理代」だけではありません。
営業できなかったことで、本来得られるはずだった売上も失われます。
幸家では予約キャンセルだけでも100万円近い損失が見込まれています。
西洋菓子倶楽部でも、工場で製造している商品の規模は1日あたり数百万円相当とされており、製造停止が長引けば影響はさらに大きくなる可能性があります。
つまり企業の水害では、
設備被害+商品廃棄+復旧費用+休業損失+キャンセル
と、複数の損失が重なる可能性があります。
これこそが「水が引いても被害が終わらない」大きな理由です。
被災した福井県内の中小企業への支援は?
今回の大雨で被害を受けた中小企業や小規模事業者に対しては、支援策も用意されています。
福井県は、2026年8月29日からの大雨災害の影響を受けた中小企業・小規模事業者を対象とした特別相談窓口を設置しました。
県庁だけでなく、県内の商工会議所、福井県商工会連合会、日本政策金融公庫、福井県信用保証協会などにも相談窓口が設けられています。
また、中小企業・小規模事業者向けの支援措置として、災害復旧貸付も実施されています。
福井市、大野市、勝山市、あわら市、坂井市、永平寺町の対象事業者については、売上高などの減少に対応するセーフティネット保証4号の適用に向けた事前相談も開始されています。
そのほか、既往債務の返済条件の緩和などへの柔軟な対応や、対象となる小規模企業共済契約者に対する災害時貸付といった措置もあります。
被災した企業にとって重要なのは、被害状況を記録するとともに、利用できる制度について早めに相談することです。

よくある質問
Q1.福井県の大雨で何社の企業が被害を受けていますか?
報道によると、福井県内では製造業47社、卸売・小売業19社、宿泊・飲食業10社など、計112社で浸水や設備故障などの被害が報告されています。
被害状況は今後の調査によって更新される可能性があります。
Q2.西洋菓子倶楽部ではどのような被害がありましたか?
坂井市丸岡町にある西洋菓子倶楽部の工場が浸水し、工場内部では約30センチの高さまで水が入りました。
冷蔵・冷凍設備や製造機械なども浸水したため、洗浄だけでなく、設備が正常に稼働するかの確認も必要になっています。
Q3.西洋菓子倶楽部の大雨による損失はいくらですか?
報道時点では、被害額の全容は把握できていません。
一方、被災した工場は県内5店舗の商品製造を担い、その規模は1日あたり数百万円相当とされています。
そのため、製造停止が長期化すれば店舗への商品供給や売上にも影響が広がる可能性があります。
Q4.永平寺町の「幸家」は浸水したのですか?
店舗そのものへの浸水は免れました。
しかし、駐車場付近ののり面が崩れたため、利用客の安全を優先して営業を休止しています。
予約キャンセルだけでも100万円近い損失とされ、食材や商品のロスなどを合わせると数百万円単位の損失になる可能性があるとしています。
Q5.福井県では被災した中小企業への支援がありますか?
あります。
福井県は大雨の影響を受けた中小企業・小規模事業者向けに特別相談窓口を設置しています。
災害復旧貸付、セーフティネット保証4号、既往債務の返済条件緩和への柔軟な対応、小規模企業共済の災害時貸付などの支援措置も案内されています。
利用条件や制度内容が変更・更新される可能性もあるため、福井県などの公式情報を確認することが重要です。

まとめ
福井県を襲った記録的な大雨は、地域の企業活動にも深刻な影響を与えています。
報道では、県内112社で浸水や設備故障などの被害が確認されています。
坂井市の西洋菓子倶楽部では、工場内部が約30センチ浸水し、冷蔵・冷凍設備や製造機械にも被害が発生。
従業員やボランティアが復旧作業を続けています。
永平寺町の幸家では、店舗の浸水は免れたものの、駐車場付近ののり面崩落によって営業を休止。
予約キャンセルだけでも100万円近い損失が見込まれ、食材や商品のロスを含めれば数百万円単位に膨らむ可能性があります。
こうした事例が示しているのは、水害の被害は水が引いた瞬間に終わるものではないということです。
機械や設備の故障、衛生面の問題、商品の廃棄、予約キャンセル、休業による売上減少など、事業者にはさまざまな負担が残ります。
一方で、福井県では被災した中小企業・小規模事業者を対象とした特別相談窓口が設置され、災害復旧貸付などの支援措置も始まっています。
被災企業が1日も早く事業を再開できるか。
今後は大雨による直接的な被害だけでなく、地域企業の復旧状況や営業再開、そして地域経済への長期的な影響にも注目していく必要があります。
※記事内の画像にはイメージが含まれています。


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